守秘義務について

910 表示産業保健の現場から守秘義務
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安全と守秘義務に関する質問です。製造業で勤務する看護職です。メンタル疾患で治療中の従業員の産業医面談で、業務遂行と服薬アドヒアランスに問題があるため、産業医から休業して治療に専念するようにとの意見がありました。面談終了後、当該従業員が看護職の服薬アドヒアランスに関する情報で要休業と判断された、との苦情がありました。当該従業員の業務は、通常ならフォークリフトや自動車の運転にも従事します。本人と周囲への安全を優先し、やむ負えない情報提供と考えていますが、守秘義務という観点では、もやもやした気持ちも残ります。この判断についていかがでしょうか。

JAOHL-Law相談員(弁護士) 回答済み質問 2022年1月3日
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渋谷相談員が指摘するとおり、本人の納得性を高める工夫を講じることや情報の取扱い目的について丁寧な説明を行うこと等が重要と考えます。

健康情報の取扱いで紛争になっているケースの多くは信頼関係の破綻が背景にあるからです。

さて、安全配慮義務の履行の観点からは、会社内の産業保健スタッフはチームとして対応すべきであり、産業保健スタッフのいずれかが取得した情報などは産業保健スタッフ間で共有すべきでしょう(*)。

特に、医学的判断が必要な事項については、チームの医師に報告し、事後措置等に活用すべきと思われます。

もっとも、健康情報等の取扱いについては、労働安全衛生法104条(**)を踏まえた対応が求められるところです。

具体的な内容は、厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(2019年3月)が参考になります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf

健康情報等の取扱い方法について、衛生委員会等で審議し、ルール化して従業員に周知し、公正に運用することが重要となります。ルールについては、誰が、どのような権限で、どのような健康情報を取り扱うのか等を定めることになります。

ご参考にいただけますと幸いです。

(*)

例えば、『職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会』報告書」(中央労働災害防止協会(厚生労働省委託)、2006年3月)57頁等が参考になります。

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/dl/h0331-1a.pdf

(**)

(心身の状態に関する情報の取扱い)

第百四条 事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

2 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

3 厚生労働大臣は、前二項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

4 厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

JAOHL-Law相談員(弁護士) 回答済み質問 2022年1月3日
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ご質問ありがとうございます。相談員の渋谷です。

収集した健康情報は、本人の同意を得て使用できます。情報を使用する際は、社内の健康情報取扱規程を参照し「健康の確保に必要な範囲内」の活用に留める必要があります。例外的に、本人の同意なしで目的外利用が認められる場合があります。「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある」場合等です。

ご相談の事案では、本人や周囲の安全が脅かされる状況にあることがうかがえます。そのため目的外利用が容認されるのではないかと考えます。

当該従業員との軋轢を避けるための努力として、本人の納得性を高める工夫を講じてみてはいかがでしょうか。情報の取り扱いの目的について丁寧な説明を行う、服薬アドヒアランスを高めることを条件に就業制限を猶予するなどが考えられます。ご検討ください。

JAOHL-Law相談員(弁護士) 回答済み質問 2022年1月3日
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